3.8 プロフ/パラフ (露: Плов/月: Palov)
オシュ (Osh) とも. おそらくピラフと起源を同じにする, ウズベキスタン周辺の中央アジア起源の料理だが, ソ連時代にロシアに普及した. 真面目に作ろうとすると, 材料と器具の調達の点で炒飯やピラフより大変である. ウズベキスタン国内でもタシケント式, サマルカンド式, フェルガナ式, ブハラ式など地域によって差異がある. 東北地方の芋煮会めいてコミュニティで共同して作る習慣があるので一度に大量に作る前提のレシピになっている. (現地にはプロフを作るための専用施設もある) ロシアではスタローバヤの定番料理のため, 大衆向けの安価な食事というイメージらしい.
難易度 | |
---|---|
材料調達 | ★★★★☆ |
調理 | ★★★☆☆ |
3.8.1 材料
- 羊肉 200g
- イスラム教徒が大半なので豚は使わない
- 人参 1本
- 現地では黄色い人参がよく使われる. 沖縄の島にんじん的な?
- 玉ねぎ 1個
- ニンニク
- 皮も含めて丸ごと
- クミンシード 小さじ1
- 塩胡椒 適量
- 米 2合
- ジャポニカ米は使われないようだが気にしない
- 水 通常の炊飯と同じ量
以上は多くの地域で共通するもの. その他, 地域によって添えるものが変わってくるオプション
- 干しぶどう
- ひよこ豆
- 鶏やウズラのゆで卵
- 鶏肉や羊肉, 馬肉ソーセージなど複数種類の肉を入れることもある
3.8.2 道具
- カザン (大型で丸底の鉄鍋) – なければ中華鍋や底の深い平底鍋でもできなくはない
- 蓋になる大きめのボウル – 現地の人がやってるように皿を載せるだけで密閉できなくともわりとなんとかなる
3.8.3 作り方
- 鍋に洋脂を溶かす
- 肉から脂身を切り取って使う
- なければ植物油
- 千切りにした玉ねぎと人参を入れ, 弱火でじっくり炒める
- 玉ねぎと人参はよく火が通り, 水分が抜けるまで炒める
- 焦げないように130度程度を保つと良い
- 手頃な大きさに切った肉を入れる
- ある程度火が通ったら, 米と水を入れる
- 米は事前に研がなくてもよい
- 米は水平になるように均し, 水位が米と同じくらいの高さになるまで待つ
- 唐辛子, ニンニク, 荒く挽いたクミンシード, そして塩を入れる
- クミンシードは手のひらこすり合わせるようにしてすりつぶすことができる
- 肌が弱い人はやらないほうがいいが, 慣れると意外と簡単に手で挽くことができる
- ボウルで蓋をする場合, 米を覆えるように鍋の中央に盛り上げる
- 底のほうにある野菜や肉は混ぜ返さないようにする
- 水分が抜けやすいように長い菜箸かフォークで数カ所に穴を開ける
- 蓋をして20分程度待つ
- 火を止めて10分程度蒸らす
- 鍋底をさらうようによくかき混ぜてから盛り付ける
- オプションでゆで卵や干しブドウを添える
3.8.4 補足
米が丸底鍋の底に触れていると焦げやすいため, 下敷きになるように野菜は十分に入れる必要がある.
余裕があれば輪切りにした玉ねぎとトマトにコリアンダーと塩胡椒を振ったサラダ (アチク=チュチュク) を作って一緒に食べる
材料を入れる順番はかなり差異がある.
3.8.5 参考資料
- 荻野 and 沼野 (2006) p. 83
- ウズベク風プロフ (ロシア語)
- フェルガナ式プロフ (ロシア語)
- サマルカンド式 (ロシア語)
- タシュケント式 (ロシア語)
- 炊飯器で作る方法 (日本語)
- アゼルバイジャン人による料理動画
- 現地の「プロフセンター」の風景
- e-food.jp の簡略化したレシピ (日本語) https://e-food.jp/recipe/asia/samalkandplov/
参考文献
荻野恭子, and 沼野恭子. 2006. 家庭で作れるロシア料理. 河出書房.