6.2 ボルシチ (宇/露: Борщ)
「ボルジチ」じゃあない「ボルシチ」だ. 何度も言ってるだろう…
— アルカージィ&ボリス=ストルガツキィ
主にウクライナ風のレシピを紹介するが, ロシア風に作るヒントも残しておく. 広く普及してるのでいろいろなバリエーションはあるが, 典型的な特徴は
ウクライナでは豚肉を使うことが多い
ロシアでは牛肉を使うことが多い
である. 脂っこさと煮込んだ野菜の甘味が重要なのはおそらく両国共通. ここではクロポテンコのレシピに近いものを紹介する (図6.2).
難易度 | |
---|---|
材料調達 | ★★★★☆ |
調理 | ★★★☆☆ |
6.2.1 材料 (5-6食分)
分量は目安. 好みでよい.
肉 バラ肉やスペアリブなど脂の多い部位 500 g
水 2 l
ビーツ 大きめの 1個
- 缶詰や真空パックの水煮ではなく, 生のものが最適
人参 1 - 2本
セロリ 1本
- セロリアックが良いらしいが日本で売ってるのを見たことがないので茎と葉で良い.
玉ねぎ 大 1個
ジャガイモ 1-2個
塩胡椒 適量
トマトピューレ 50g程度
(オプション) 香り付けのスパイス・ハーブ
- ローリエの葉
- オールスパイス
(オプション) 薬味
イタリアンパセリ
ディルの葉
万能ねぎ
サワークリーム
6.2.2 道具
- 鍋
- フライパン
- 野菜をすりおろす器具
6.2.3 作り方
まず肉と野菜を煮込んでブイヨンを作ってから, 改めて肉と野菜を入れ直して作る.
- ブイヨン用に玉ねぎ半分, 両端を切った人参を用意する (皮はむかなくてもよい)
- 玉ねぎは煮崩れしないように爪楊枝で留めておくと楽
- フライパンで肉に焼き目をつける. フライパンは洗わずにとっておく
- クロポテンコによるとアク取りをサボるためのテクニックであり, 必須ではない
- 鍋に火をかけ水を注ぎ, 肉, 半分に切った玉ねぎ, 人参, セロリを1時間ほど煮込む
- 必要に応じてアク取りをする
- 玉ねぎ, セロリ, 人参, 肉を取りだす, 肉以外は不要
- (オプション) 肉を食べやすい大きさに切って鍋に戻す
- どうせ柔らかくなるので食べやすくない大きさにしても良い
- ジャガイモ, パプリカ, 人参を食べやすい大きさに切り, 玉ねぎもみじん切りにする
- 今度は皮をむく
- ジャガイモを鍋に入れる
- ジャガイモの大きさによっては茹で時間の間を開ける
- フライパンに油を引き, 上記を炒める
- ビーツも一緒に炒めることが多いが, 熱しすぎると色が薄くなるので注意
- 塩胡椒と砂糖を加える
- 炒めた野菜とローリエの葉を鍋に移す
- トマトピューレとみじん切りにしたニンニクを鍋に入れる
- ビーツも皮をむいてすりおろし, 鍋に入れる
- ビーツの表面は固く筋っぽいので表皮だけでなく黒ずんだ部分も切り取ると良い
- すり下ろし器があると楽
- キャベツを千切りにして鍋に入れる
- これもクロポテンコの好みによるもので, もっと早く入れても良い
- 味見しつつ塩胡椒で味を調える
- スープ皿などに盛り付け, 上から薬味をふりかける
6.2.4 補足
黒パンやサーロ, ウォッカ/ホリルカとともに食べるとよい.
ロシア風に作る場合も大筋で同じだが, 肉は牛肉を使うこと. また, キドニービーンズやザワークラウトを入れることもある. 材料はだいたい共通しているが, どれくらい大きく切るかは個人差がかなりあるので正しい方法というものはおそらく存在しない.
トマトとビーツの色は全く違うので, ボルシチはトマトで色を付けると思ってはならない (トマトを入れない派閥も存在する). さらにビーツの色素は熱分解するため長時間煮込むと色あせてしまうため, 炒めに時間をかけすぎないように注意. 缶詰や真空パックのビーツも加熱処理済みであるためどうしても色彩に劣ってしまう. なるべく生のビーツを入手したい.
6.2.5 参考資料
クロポテンコの料理動画 (ウクライナ語, 日本語字幕あり)
クロポテンコの「ヘトマン風ボルシチ」レシピ (ウクライナ語, ロシア語) https://klopotenko.com/getmanskij-borshh/
“Всегда Вкусно!” の料理動画 (ロシア語)
『ナスチャンネル』のロシア式の料理動画 (日本語音声)