8.3 個別の要素にスタイルを設定する
Markdown のシンプルさにより, Word 文書全体に対してグローバルなスタイル設定ができます (8.1節参照) が, ある単語に色を着けたりある段落の中央揃えなど, 個別の要素に直接スタイルを設定することはできません.
David Gohel は, R 上で Office 文書で作業するのをより簡単にするという努力を続ける中で, 2018 年に officedown パッケージ (Gohel and Ross 2021)の開発を始めました. これは officer (Gohel 2021b) パッケージの機能のいくつかを R Markdown に持ち込むのが目的です. 本書の執筆時点ではこのパッケージの初期のバージョンが CRAN で公開されていますが, まだ実験的です. CRAN あるいは GitHub どちらからでもインストールできます.
# CRAN からインストール
install.packages("officedown")
# GitHub からインストール
::install_github("davidgohel/officedown") remotes
パッケージがインストールされたら, R Markdown 文書内で読み込む必要があります. 例えばこのように.
```{r, setup, include=FALSE}
library(officedown)
```
officedown パッケージには rdocx_document
という出力フォーマットがあります. これはデフォルトでは rmarkdown::word_document
を基礎にして, 表やグラフにスタイル付けする機能が追加されています.
officedown パッケージは officer パッケージを介して特定の Word 要素にスタイルを適用することを可能にします. 例えば officer::fp_text()
関数でスタイルを作成し, インライン R コードの ftext()
でテキストの一部にそのスタイルを適用できます.
---
title: officedown でテキストにスタイルを適用する
output:
officedown::rdocx_document: default
---
```{r}
library(officedown)
library(officer)
ft <- fp_text(color = 'red', bold = TRUE)
```
# テスト
`r ftext('すごい', ft)`! **officedown** パッケージは
officer の関数とは別に, officedown パッケージは特殊な HTML コメントを使って officer のタスクが実現できます. 例えば officer::block_pour_docx()
は外部の Word 文書を現在の文書にインポートするのに用いますが, 代わりに R Markdown 上で HTML コメントを使うこともできます.
<!---BLOCK_POUR_DOCX{file: 'my-file.docx'}--->
これはインライン R コードで以下のように書くのと等価です.
`r block_pour_docx(file = 'my-file.docx')`
officedown と officer パッケージで他にできることとして, 以下のようなものがあります.
改ページの挿入
多段組みレイアウトの配置
段落設定の変更
目次の挿入
あるセクションのページの向きを変える (縦向きか横向きか)
officedown についてもっと学ぶには, 公式ドキュメント https://davidgohel.github.io/officedown/ をご覧ください.
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訳注
翻訳者は officedown のテンプレートを日本語化した簡易的なパッケージを作成しています.