10.3 その他の表作成パッケージ
多くの作表用 R パッケージがあります. kable()
(10.1節) とkableExtra (10.2節) を紹介した)主な理由は他のパッケージより良いからではなく, 私がこれらにのみ詳しかったからです.34 存在は知っていますがあまり詳しくないパッケージを次に列挙します.35 ご自分で確認し, 目的に最も合っているものを決めることができます.
flextable (Gohel 2021a) と huxtable (Hugh-Jones 2021): 幅広い種類の出力フォーマットをサポートするパッケージを探しているなら, flextable と huxtable が最善の2つの選択です. HTML, LaTeX. そして Office フォーマットを全てサポートし, よく使われる表の機能 (例えば条件付き書式とか) のほとんどをサポートしています. flextable の詳細は https://davidgohel.github.io/flextable/ で, huxtable のドキュメントは https://hughjonesd.github.io/huxtable/ で見られます.
gt (Iannone, Cheng, and Schloerke 2022): 表のヘッダ, (題名・副題), 列のラベル, 表の本体, 行グループのラベル, 表のフッタといった異なる表のパーツをまとめて表を構成することができます. 数字のフォーマットを指定したり, セルの背景色に影をつけたりもできます. 現在は gt は主に HTML 出力をサポートしています.36 詳細は https://gt.rstudio.com で見られます.
formattable (Ren and Russell 2021):
percent()
,accounting()
といった数値を整形するものや, テキストの書式, 背景色やカラーバー, アイコンの追加などで数値を強調するなど, 表の列のスタイルを設定する関数を提供してくれます. gt のように, このパッケージも主に HTML フォーマットをサポートしています. 詳細は GitHub プロジェクトの https://github.com/renkun-ken/formattable で見ることができます.DT (Xie, Cheng, and Tan 2021): 作者なのでこのパッケージには精通していると思っていますが, HTML フォーマットのみのサポートのため独立した節を設けて紹介したりはしません. DT は JavaScript ライブラリの DataTables を下地に構築されたもので, HTML ページ上で静的な表をインタラクティブな表に変えることができます. 表をソートしたり, 検索したり, ページ移動したりできるでしょう. DT はセルの整形もサポートしており, インタラクティブなアプリケーションの構築のため Shiny と連携して動作し, 多くの DataTables の拡張を導入します. 例えばエクセルへのエクスポート, 列の並び替えなどです. 詳細はパッケージのリポジトリ https://github.com/rstudio/DT を見てください.
reactable (Lin 2020): DT と同様にこのパッケージは JavaScript ライブラリを元にしてインタラクティブな表を作成します. 正直に言うと, 私が見る限り, 行のグループ化や HTML ウィジェットの埋め込み機能などいくつかの観点で DT より優れているようです. もし reactable が 2015年時点で存在していれば, 私は DT を開発していなかったと思います. とは言うものの, reactable はDT にあるすべての機能を揃えていません. よってあなたはこのパッケージのドキュメント https://glin.github.io/reactable/ を読み, どちらが目的に合ったものかを知ることもできるでしょう.
rhandsontable (Owen 2021): これも DT と似ており, そして表上でデータを直接編集できるなど Excel っぽさがあります. 詳しく学ぶには https://jrowen.github.io/rhandsontable/ を見てください.
pixiedust (Nutter 2021): broom パッケージ (Robinson, Hayes, and Couch 2022) を介した統計モデル (線形モデルとか) 向けの表を作るのが特徴です. Markdown, HTML, LaTeX 出力フォーマットをサポートしています. リポジトリは https://github.com/nutterb/pixiedust です.
stargazer (Hlavac 2018): 回帰モデルと要約統計量の表を整形するのが特徴です. このパッケージは CRAN の https://cran.r-project.org/package=stargazer にあります.
xtable (Dahl et al. 2019): おそらく最古の作表パッケージです. 最初のリリースは2000年になります. LaTeX と HTML フォーマットの両方をサポートしています. パッケージは CRAN の https://cran.r-project.org/package=xtable にあります.
その他のパッケージは紹介しませんが, 名前だけ挙げておきます. tables (Murdoch 2020), pander (Daróczi and Tsegelskyi 2021), tangram (Garbett 2020), ztable (Moon 2021), condformat (Oller Moreno 2020) があります.
参考文献
平たく言うと, 自分では表を全く使いませんから, 洗練された表を作る方法を学ぶ強いモチベーションがありませんでした.↩︎
訳注: これらの差異について, 最新の情報とは限りませんし, 必ずしも網羅的ではないですが, 翻訳者自身の作成したドキュメントでいくらか言及しています. https://gedevan-aleksizde.github.io/rmdja/advanced-tabulate.html↩︎
LaTeX や Word といった他の出力フォーマットへのサポートが必要ならば, gtsummary パッケージ (Sjoberg et al. 2022) はとても有望な gt を下地に拡張しています. https://github.com/ddsjoberg/gtsummary↩︎