1.2 PDF レポートの作成に LaTeX (TinyTeX) をインストールする
R Markdown から PDF 文書を作りたいなら, LaTeX がインストール済みである必要があります. 伝統的な選択肢として MiKTeX, MacTeX, そして TeX Live がありますが, R Markdown ユーザーに対しては TinyTeX のインストールを推奨します.
TinyTeX は TeX Live をもとにカスタムされた LaTeX ディストリビューションで, 比較的サイズが小さく, それでいて, 特に R ユーザーが使うようなほとんどの機能を備えています. TinyTeX のインストールや起動にはシステム管理者権限は不要です8. TinyTeX は R パッケージの tinytex (Xie 2022) でインストールできます.
“tinytex” は R パッケージのことを指し, “TinyTeX” は LaTeX ディストリビューションを指すことに注意してください. TinyTeX を使う利点は2つあります.
TinyTeX は (他の LaTeX ディストリビューションと比べて) 軽量であり, クロスプラットフォームでありポータブルです. 例えば USB ドライブや他のポータブルデバイスに TinyTeX のコピーを保存し, 同じオペレーティングシステムの別のコンピュータで使用することができます.
R Markdown を PDF へ変換する時, Pandoc はまず Markdown を中間ファイルとして LaTeX 文書に変換します. tinytex パッケージは LaTeX 文書を PDF にコンパイルするヘルパー関数を提供します (主な関数は
tinytex::latexmk()
です). TinyTeX を使っていて, インストールされていない LaTeX パッケージが必要ならば, tinytex は自動でインストールしようとします. LaTeX ファイルに対するコンパイルも, 全ての相互参照を確実に解決するために十分な回数だけ行おうとします.
技術的に詳しい話に興味があるなら, Xie (2019) の論文と https://yihui.org/tinytex/faq/ の FAQ を確認するとよいかもしれません.
訳注
上記の FAQ を含む tinytex パッケージのドキュメントの日本語版も翻訳者により作成されています
https://gedevan-aleksizde.github.io/tinytex-doc-ja/index.html
参考文献
というより, あなたがシステムの唯一のユーザーなら Linux や macOS では TinyTeX を root 権限で (つまり
sudo
で) インストールしないことをお薦めします.↩︎