6.2 LaTeX 出力の Pandoc オプション
LaTeX 出力に対してデフォルトの Pandoc テンプレートを使うなら, PDF 出力の文書の見た目を調整するオプションが何種類もあります. そのうちいくつかの例を以下に挙げておきます. 完全なリストは https://pandoc.org/MANUAL.html#variables-for-latex で見ることができます.
documentclass: book
classoption:
- twocolumn
- landscape
papersize: a5
linestretch: 1.5
fontsize: 12pt
links-as-notes: true
あなたが LaTeX をある程度ご存知なら, これらのオプションの意味は明らかでしょう. documentclass
オプション は, 例えば article
, book
, report
などの文書クラスを設定します. classoption
は文書クラスに与えたいオプションをリストにしたもので, 例えば二段組の文書を作りたいなら twocolumn
オプション,24, 横置きレイアウトにするなら landscape
オプション (デフォルトでは縦置き (portrait) レイアウト) があります. papersize
オプションは a4
, paper
, a5
といった用紙サイズを設定します. linestretch
オプションは行間を設定します. fontsize
オプションはフォントサイズを 10pt
, 11pt
, 12pt
というふうに設定します. links-as-notes
オプションはテキスト内のリンクを脚注に置き換えます. 紙に印刷する際には読者は紙面上のリンクをクリックできませんが, 脚注の URL を見ることができるので便利です.
フォントの変更は少しトリッキーで, どの LaTeX エンジンを使っているかに依存します. LaTeX ベースの出力フォーマットで通常デフォルトの pdflatex
を使っているのなら25, fontfamily
オプションを使って読み込む LaTeX フォントパッケージを選択してください. 例えばこのように.
fontfamily: accanthis
output:
pdf_document:
latex_engine: pdflatex
これで文書に Accanthis フォントが使われます. 他にも多数の LaTeX フォントパッケージのリストがあるので https://tug.org/FontCatalogue/ を見てください. LaTeX ディストリビューションに TinyTeX をお使いで, インストールされていないフォントパッケージが要求されるときは, 文書がコンパイルされる際に自動でインストールされるはずです(1.2節参照).
LaTeX エンジンに xelatex
または lualatex
を使っているなら, ローカルのコンピュータで使用可能なフォントから選ぶことができ, LaTeX パッケージの追加インストールはしなくともよいです. YAML オプションで mainfont
, sansfont
, monofont
を使えば, それぞれメインのフォント, サンセリフ体, そしてタイプライタ体のフォントを指定できます.26 例えばこのように.
mainfont: Arial
output:
pdf_document:
latex_engine: xelatex
Beamer の文書は LaTeX 文書なので, Beamer でスライドを生成する時にもこれらのオプションを使用できます. 加えて, Pandoc は Beamer スライド用にオプションをいくつか追加提供しています. それらは https://pandoc.org/MANUAL.html#variables-for-beamer-slides で確認できます. 例えば institute
オプションで著者の所属機関を指定することができます.
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output: beamer_presentation
institute: "ハッカーの大学"
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このオプションは文書全体を変更しますが, 特定の位置から再度一段組に戻したいのなら, そこに
\onecolumn
コマンドを挿入することになるでしょう. 二段組モードを続けたいなら\twocolumn
を挿入します.↩︎訳注: 日本語文書を pdflatex で出力することは全く不可能というわけではありませんが, 技術的制約が多いため LaTeX に慣れている方以外にはお薦めしません. xelatex または lualatex の使用をお薦めします.↩︎
訳注: rmdja パッケージでは YAML フロントマターで3種類のフォントをまとめて設定できたり, あるいは欧文用フォントと和文用フォントを個別に細かく指定できたりします. 詳細はパッケージのドキュメント等を参考にしてください.↩︎